その日は雨でした。
客足も鈍るのでは、という安易な発想も手伝い、A店とB店をはしごしてみようと思い立ちました。午前の会議が長引き、遅めの昼休みを利用して出走です。
A店前。入店待ちは2組。
どうやら雨は無関係なようです。
名刺をいただいた男性店員はご不在。B店に向かいます。
B店は入店待ちゼロ。
マラソン開始以来、初めてでした。
すんなり店内に通され、名刺をいただいた女性店員さんをたずねると
「あと15分ほどで戻ります。お待ちになりますか」
との返答。一瞬、午後の会議のことが頭をよぎったものの、なぜだか、留まるべきだ、との思いが湧きおこり、待たせていただくことにしました。
店内に背を向けて座るカウンター席に腰かけていたため、背後の様子はよく分かりませんでしたが、私が入店した後、客足は戻ったようでした。
やはり、天候は無関係のようです。
賑わいの気配を感じつつ、壁面のデジタルサイネージを眺めて待つこと約10分。
「お待たせして申し訳ありません」とお声がけいただきました。
そして矢継ぎ早に、しかし、小声で「エクスプローラーをお探しでしたね。すぐ在庫を確認して参りますね」などと仰るや否や、踵を返し、足早にバックヤードに戻られます。
「こんにちは」とご挨拶差し上げる間もないほどの早業でした。
在庫確認は、前回同様、長めでした。
バックヤードの方を眺めて待っていると、こちらに戻ってくる店員さんと目が合いました。
瞬間、彼女が小さく頷いたように見えました。
先ほどとは打って変わって、優雅な足取りで私の前に立つと、一呼吸おいて、
「在庫、ございます。ご用意できます」
マスク越しにも分かる笑顔で、しかし、やはり、小さな声で教えてくれました。
マラソン開始から10日目、AB2店舗通算で訪店7回目のことでした。
コメント